堀川を清流に

 堀川1000人調査隊
  隊員レポート


           




  愛工大名水研 自由プログラム

     ---導水による水生生物の変化----

 
                              

  自由プログラム 
    テーマ      
導水による水生生物の変化

                        
愛工大水工研調査隊
                                      池田 憲繁
                                      岡崎 雅人
                                      湯田坂一矢


1.はじめに

     名古屋市内の河川は都市化により水質汚濁が進み、
    堀川を含めていくつかの河川は、DO(溶存酸素量)が乏しく、
    水生生物の住みにくい水質になっている。

     堀川では、平成16年2月から5月にかけて大規模な導水を行う。

     この大規模な導水で堀川がきれいになるにはどうすればよいかを考える。


2.目的

      黒川樋門、木津根橋において水生生物の個体数を調べて、
     導水により水生生物がどのように変化していくかと、
     水質指標になっている生物の生態について調べ、
     その生物の変化から水質の変化を知ることを目的として調査を行う。


3.調査方法

     今回は調査地点を堀川上流の黒川樋門付近と木津根橋付近の
     2地点を対象にし、導水前と後での水生生物の個体数の変化を調べる。

      具体的な調査方法は、調査地点周辺の一定範囲内でタモを川底に着けて、
     足で川底の泥や石を動かして川底内にいる水生生物を採取していく作業を
     数回繰り返した。

      採取した水生生物は顕微鏡で一匹ずつ詳しく調べ、同定する。



             
シマイシビル
 
    水質:少し汚れた〜汚れた
    体調:45mm 

     河川内での生息場所:平瀬、淵、石裏

  (生態)
       体は平たく延びたり縮んだりする。

       背中には細かいマダラ模様と縦に線があり、腹面の先には吸盤がある。

       肉食性でユスリカ・イトミミズなどの小さな水生生物を食べている。

       石裏などに張り付いた状態で見つかるが、体を波打たせて泳ぐこともある。 



              ハグロトンボ
  
     水質:きれい〜少し汚れた
     体調:22~26mm
      繁殖時期:5月〜10月

      河川内での生息場所:水草の中、ヨシ群落

       細長い体型で各肢も長いトンボの幼虫。
       触角は頭の幅より長い。尾は三本、柳葉のような形で先が尖っている。
 
       尾はエラになっていてここから酸素を取り入れて呼吸している。

   《生態》
       山地に近い渓流から平地流まで、割と広い生息域をもっている。
       水生植物に紛れて生息しており、ほかの水生昆虫を伸縮する下唇で捕らえて食べる。
       成虫は細長い体型で、黒い翅を垂直に折り畳んで静止する。



                ユスリカ

   ユスリカ類はハエ目の一部であるが、種類は極めて多く、川虫でも
   カゲロウ類やトビケラ類と並んで、個体数も種類数も多いグループである。

   『本格的な属や種の決定』
      幼虫をアルカリなどで透明にする処理をして、高倍率の顕微鏡で頭部を
     詳しく観察する必要がある。

      大きなグループ分けと属レベル程度のタクサ(分類群)の数は実態顕微鏡レベルで可能。


    ユスリカ科のうち、川虫として出現するのはモンユスリカ亜科、エリユスリカ亜科、
   ユスリカ亜科に分けられる。

     これらの亜科は、眼点の形と配置で区別は概ね可能である。
     触角や腹鰓も同定に役に立つ。

    (セイジユスリカ)  
      水の評価 少し汚れた〜大変汚れた
      体調:幼虫 12mm 、蛹 7mm 、成虫 5.5mm

       河川内での生息場所:平瀬、淵、石下、泥の中
        繁殖時期:一年中

   《生態》
      河川や溝の汚水の流れている泥の中にたて15mmの泥の巣を作り生息。
       
       ゆるい流れから止水の泥の中に潜って生息しており、泥中に含まれる
      有機物を食べている。

        水の汚れに強く、汚れた水中に大量生息している。 



                 マダラカゲロウ科


        マダラカゲロウは6属種27種類がいる。

       この生物の同定の方法はトビイカゲロウと同様、えらの数で特徴判別する
      ことが出来る。

       体の特徴はずんぐりとした丈夫な体、濃厚な色彩、刺の多い頭部や肢、
      のろのろした行動が特徴。

         生活場所は渓流の石間のゴミ石間に引っかかった流木落葉等の間で
       体肢に泥を被ることが多い。




               カワニナ

    きれいな河川から汚れてきている河川で見られる。

    平瀬緩流部、石下、石側面、堆積した落ち葉の中などに生息している。




 <考察>

    庄内川の水を導水してみてわかったことは、
   庄内川の水が思ったよりも汚れていたことです。

    導水前には、コガタシマトビケラ、ハグロトンボのヤゴ、
  ヤマトヌマエビなどの水生生物が見つけられていたが、

    導水の量が増えるにつれて、見られなくなっていった。

    最終的には、ミズムシ、ヒル類など汚い水に棲む水生生物が目立ってきていた。


    このことから、まず1つ目に、コダカシマトビケラ、ハグロトンボのヤゴなど
   汚い水に対応できない生物が減ってしまい、ミズムシ、ヒル類など汚い水を好む
   生物が増えたことから、導水した庄内川の水質があまり良くなく、
  予想とはうらはらに堀川の水質が悪くなってしまったことがあげられる。



     2つ目に、ヤマトヌマエビなど緩い流れを好む生物は、導水により流れが
   早くなってしまったことから、その流れに対応しきれなくなって減少していってしまった
   のだと思う。

     以上より、庄内川から堀川へ導水したことにより、水質に影響をあたえてしまい、
    今までの生態系が崩れ、また新しい生態系ができるまでまだ時間がかかってしまうと思う。





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