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調査概要
4月の調査は、導水0.5tの増量を開始した4月10日に実施した。
本調査隊は上飯田黒川樋門周辺でのイベントに参加した後に水質調査を行った。
調査区域は、堀川の最上流部であり、庄内川に設けられた
元杁樋門から栄橋までの約200mの区域である。
当日の川の状況は、水深は約25cm、流速は3月調査時よりやや早く、
導水の影響がうかがえた。
また、川の底質は前回調査と同様の砂質土に泥が被った状況であった。
図―1 調査区域位置図 |
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CODのパックテストでは、前回調査と同様に瀬古の井戸の放流部の上流側と
下流側で測定を行った。
その結果、両側ともCOD値は8以上であった。
下表に、過去3ヵ月間の測定値の推移を示す。
庄内川からの導水の状況は、2月の調査時には導水が無く、3月の調査時には
導水が開始された後であり、4月の調査時には0.5tの増水後である。
瀬古井戸の上下流でのCOD値を比較すると、導水後にCOD値が上昇していることから、
庄内川からの流入水のCOD値が高いことがうかがえる。
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表1 COD値の推移
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2月29日 |
3月21日 |
4月10日 |
COD値(mg/L) |
瀬古井戸上流 |
2 |
8以上 |
8以上 |
瀬古井戸下流 |
2 |
3 |
8以上 |
導水量(t/秒) |
0 |
0.1 |
0.5 |
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写真―2 採水状況1
瀬古の井戸放流部より上流側で採水を実施した。
COD値は8以上であった。
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写真―3 採水状況2
瀬古の井戸放流部より下流側で採水を実施した。
COD値は8以上であった。
瀬古の井戸(COD値2程度)の影響はみられない。
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写真―4 河川状況
調査当日は、沿川の桜は満開であった。
水のにおいは無臭で、川底が見える状況であった。
水深は焼く25cm程度。
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写真―5 生物の状況1
シジミ発見。
砂礫質の川縁で発見。
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写真―6 生物の状況2
河原の石を裏返してみると、ミミズ類発見。
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写真―7 生物の状況3
アメリカザリガニ発見。
今年生まれた幼体であるが堀川で繁殖したものか、
庄内川で繁殖したものかは不明。
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参考 生物の種から堀川を評価する
●水生動物
水生昆虫をはじめとして、ミミズ類、ヒル類、貝類など川の中にすむ動物は、
下図のように水の汚れの程度によって、その生息が大きく影響され、生息地域が
異なっています。
そのため、川に生息する水生動物の種類構成や個体数を調べることにより、
その川の汚染の程度も把握できます。
環境省では、全国の河川において、住民参加による水生生物調査を実施しています。
河川に生息する水生動物を指標生物として、水質の判定を行うことができます。
4月の調査では、当調査区域においてもミミズ類やアメリカザリガニが確認されています。
環境省が設定している指標生物と水質階級との関連(表1)と比較すると、
当調査区域の水質階級は、「大変きたない水(W)」になります。
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●淡水魚類
川に生息する淡水魚類は、好みにあった生活場所を選んで生活しています。
その生活場所の条件を分析すると、
@すみかとなる場所の底質、
A水の流れの速さや水深、
B基本となる餌(水生昆虫、藻類、小魚等)、
C隠れ場所の多さ、
D他の種類の魚数量、
E水質
などに分類できます。
これらの要因の内、どれかが大きく変化したり、なくなったりすると、そこで暮らす
淡水魚類は条件の良い場所へ移動したり、数が減少したりします。
川にすむ生物の種類の多さや生存する量は、その川の自然度を計るための
重要な指標のひとつになります。
本調査の結果では、魚類はコイが確認されています。
表2から堀川の自然度の評価は、「指数D:注意を要する環境」となります。 |
表2 淡水魚類別にみた自然度指数
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指数 |
自然度の評価 |
生息する種 |
A |
非常によい環境 |
イワナ、アユ、ヤマメ、トゲウオ類、カジカ類 |
B |
よい環境 |
ホトケドジョウ、ウグイ、カマツカ、カワムツ、タナゴ類、スナヤツメ、ウナギ |
C |
ややよい環境 |
シマドジョウ、オイカワ、アブラハヤ、ナマズ、ハゼ類、タモロコ、
メダカ、ヨシノボリ、ウキゴリ、チチブ |
D |
注意を要する環境 |
フナ類、カダヤシ、ドジョウ、モツゴ |
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出典:「フィールドガイドシリーズ指標生物自然をみるものさし」
(財)日本自然保護協会
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●堀川の水質と自然度についての評価の結果は大変厳しいものでしたが、
今後は行政や市民の活動によりこの評価が少しずつ上がっていくことを願います。
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